神戸市東灘区御影 徐小児歯科 日本小児歯科学会専門医 八木成徳
■予防について
●いつごろから歯ブラシを使えばいいの?
生後半年もすると赤ちゃんの下顎から真珠のようにきれいな歯が生えてきます。その歯を見たお母さんはむし歯にしないできれいなまま守っていこうと決意されることでしょう。さっそく歯ブラシを持って悪戦苦闘する方も多いかと思います。
生後半年ほどの赤ちゃんがそう簡単にお口を開けて歯磨きなどさせてくれるはずはありません。またしばらくすると上顎からも歯が生えてきます。ますます張り切って歯ブラシを持ってプロレスまがいの格好で苦闘されるでしょう。
ここでチョット待ってください、その頃はまだ赤ちゃんは本能的に手にしたものはお口に持っていきます。そうです、歯ブラシを自分で持たせてこれはお口に入れるものだということを教える時期だと認識して下さい。ただ、危険のないように目の届くところで転倒しないようにして下さい。奥歯の出てくる1年くらいまではそのような訓練(動機付けやモチベーションという言葉も使います)期間です。その間の口腔清掃は食後や就寝前に湿らせたガーゼなどで歯をぬぐってあげて下さい。奥歯が出てくるとどうしてもかみ合わせの部分の溝はガーゼだけではきれいにすることが困難なので歯ブラシは必要です。それまでに赤ちゃんのお口をお母さんが触ってもいやがらないようにすることが大切です。
また半年少ししたところで出てくる上顎の前歯を磨く時は特に注意が必要です。歯の基礎知識の口腔内の図をを参照していただくとよいのですが、前歯の間から唇にかけて紐のような筋のようなものがあると思います。上唇小帯といいます。ここに歯ブラシが当たるととても痛いのです。歯ブラシ嫌いにさせないためにもそのことを覚えておいて、きつく当たらないように指を添えるなどの工夫をしてあげて下さい。