神戸市東灘区御影 徐小児歯科 日本小児歯科学会専門医 八木成徳

徐小児歯科

予防

■フッ素

■シーラント

■シーラントってどんなもの

シーラントというのは、奥歯のかみ合わせの部分の溝に樹脂でふたをして、歯垢がたまらないようにする予防です。フッ素との違いは、シーラントは溝のみに予防効果を発揮することと、積極的に歯垢がたまらないようにするというもので、フッ素の場合は、歯のエナメル質全体の構造を変えて溶けにくくするというものです。したがってシーラントは物理的予防、フッ素は化学的予防といえます。

適応としては、奥歯の歯の溝の深い場合、特に6歳ごろに出てくる第一大臼歯は溝が深く、歯ブラシをしても溝の奥まできれいに磨くことが困難です。またその頃のエナメル質は軟らかくむし歯になりやすい歯の代表です。

やりかたは、下の写真のように、ラバーダムという薄いゴムのカバーを施術する歯にして、唾液が歯の溝に入らないようにします。その後、歯医者さんの機械の歯ブラシで徹底的に溝をお掃除し、歯の表面のペリクルというタンパク膜を除去するために、次亜塩素酸ソーダで化学的に除去します。この処置はバキュームやブラシの回転する音だけで、痛みは当然ありません。そしてエナメル質表面をシーラント剤が接着しやすいように処理し、シーラントの樹 脂を溝に流し込んで硬化させれば終了です。上手にできる子供であれば、1本シーラントするのに2~3分ほどで終ります。

シーラントの耐久性がよく質問に出ます。奥歯の溝は高い部分(奥歯の山の頂上のように見える部分)があるので溝が存在するわけで、その高い部分が生活でかんでいるうちに磨り減って相対的に溝自体が浅くなって来ます。そうなるとその部分のシーラントは対合歯(下の歯のシーラントならその歯にかみ合わさる上の歯の意味)に当たります。シーラント自体やわらかい樹脂なので、その部分のシーラントも磨り減ってなくなりますが、その頃になると溝自体が浅くなるので歯垢の蓄積もなくなりむし歯になる危険性がほとんどなくなります。また、歯は出たように見えてもゆっくりと出続けます。そうするとまた新しい溝が出てくるのでその部分も数カ月おきにシーラント剤を追加する必要があります。とりあえず、定期的に歯医者さんでチェックをする必要があろうかと思います。

左写真は3歳児がシーラントをしているところです。ラバーダムをして、鏡で今からするところを観察してます。 上手に頑張ってますね。
左写真は溝の中が少し黒ずんでますが、今から2本第1、2乳臼歯をシーラントをします。
少し見にくいですが、溝の中に白いシーラント剤が入ってます。ラバーダムは上のほうが空いてますので口での呼吸も楽です。
上の写真の拡大です。シーラントが見えますでしょうか?溝の一番深い部分に白く入ってます。