神戸市東灘区御影 徐小児歯科 日本小児歯科学会専門医 八木成徳

徐小児歯科

予防

■フッ素

■シーラント

フッ素

最近は保健所でもフッ素塗布が始まり、むし歯予防効果が一般的にも認められてきた感の強いフッ素ですが、いまだに薬物アレルギーの強い保護者の方もいらっしゃいます。確かに多量にフッ素を体内に摂取するといろいろな弊害が出ますが、医療機関で塗布してもらう場合においての安全性は確立されているといっても過言ではありません。

フッ素はハロゲン族の元素で、元素番号9で原子量約19の物質です。自然界ではフッ素単体ではなくフッ化物として存在してます。だいひょうてきなものには氷晶石、蛍石、黒雲母などがあります。 そもそもフッ素がなぜむし歯予防に効果があるとわかったかというと、1942年にアメリカのTrendley Deanらが広範な疫学調査の結果、水道水に1ppmのフッ素が含まれている地域においてむし歯の発生率が顕著に低いことが発見されました。さらに2ppm 以上だと斑状歯が発現することもわかりました。その後、この調査結果を元にアメリカでは水道水にフッ素を添加してう蝕の予防に大きな効果をあげています。

フッ素の作用機序

  1. エナメル質の酸に対する抵抗性を高める
  2. 歯垢中の糖を酸に変える細菌酵素系を阻止する
  3. 細菌内多糖質の貯蔵を阻止する
  4. 再石灰化作用がある

上記の中でも1と4が特に大きな予防効果があると考えられています。 ここで少し詳しく作用機序を説明して行きましょう。

予防数式
上の式は人のエナメル質にフッ素が作用した時の反応式を示しています。HAPは最近よくテレビでも耳にするハイドロキシアパタイトと呼ばれているエナメル質の名称です。上の段の反応式は低濃度フッ素がエナメル質に作用した時のもので、下の段は高濃度フッ素の場合です。ここでよく言われているむし歯になりにくいエナメル質といわれているのは上の段の反応後に生成されるフルオロアパタイトと呼ばれているものです。

フッ素の臨床応用

●全身応用

  1. 上水道のフッ素添加
  2. 食塩やミルクへのフッ化物添加
  3. フッ化物錠剤

●局所応用

  1. 歯科医院におけるフッ化物塗布(その中には直接フッ化溶液を塗布する方法やイオン導入する方法があります。)
  2. 学校や家庭内でのフッ素洗口
  3. 歯磨剤へのフッ化物の添加

局所応用の中でフッ化物塗布と歯磨剤には色々なフッ化物の種類があります。

  1. フッ化ナトリウム NaF (2%)
    局所塗布や洗口によく使用されているフッ化物です。イオン導入もこのタイプです。年に2~3回塗布するとされています。歯磨剤では日本では非常にまれ、アメリカでは結構見かけられます。
  2. フッ化第一スズ SnF2 (8%)
    これも局所塗布や歯磨剤によく使用されているフッ化物です。効果はフッ化ナトリウムより高いのですが、歯の表面を薄黒くくすませたり、局所塗布溶液の場合調製後1時間以内に使用しないと白色沈殿を生じ使用不可能になる欠点があります。
  3. 酸性フッ素リン酸溶液 APF (1.23% 0.9%)
    局所塗布や洗口に応用されるフッ化物です。この特徴は1番目の2%フッ化ナトリウム溶液に正リン酸溶液を加え再石灰化をより促進するように工夫されています。形状としては普通の溶液タイプと、より歯面に停滞するようにゲル状になっているタイプがあります。欠点としてはリン酸溶液が添加されている為にすっぱい味がします。

よくある質問の中の「予防」も参考にしてください。
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